舞台『大地』(Social Distancing version)生配信。

舞台『大地』(Social Distancing version)生配信。
<作・演出>
三谷幸喜

<出演> 
大泉洋
山本耕史
竜星涼
栗原英雄
藤井隆
濱田龍臣
小澤雄太
まりゑ
相島一之
浅野和之
辻萬長


チケットはとっくに完売していたが全て払い戻し、
その後約半分を再販売した。(一席ずつ空けて互い違いにする為)
見られなくなった観客のため、そして減収分を補うため
配信を決め7台ものカメラで撮影、一律3000円で生配信された。

たとえ演劇公演が正常化してもこの先も「配信」は避けられない。
観客数を減らしたまま収支を合わせるには
チケット代が倍になる。
動員力のある三谷幸喜の「大地」でさえ、
配信なら10万人見てくれないとペイできない。
配信のチケットは劇場用の4分の1。
それで観客の減少分を埋めなければならず、配信のコストもかかる。

料金を払えばいつでも見られる「アーカイブ配信」にすれば
視聴者は増えるだろう。
しかしそれがエスカレートすれば
「本番の公演は一回であとは配信ということになりかねない」と
舞台芸術の根幹が揺らぐ懸念もある。
使用楽曲の著作権の問題で配信に向かない舞台も少なくない。
配信とどう付き合っていくか。演劇界も模索中だ。
(↑上記は 2020年7月14日日本経済新聞より抜粋・補足)

三谷幸喜が「俳優についての物語を書きたかった」という『大地』
本来なら6月20日初日を迎えるはずだった。
不要不急と言われたエンタメで、7月からの公演に変更。

キャスト/スタッフは何度もPCR検査。楽屋には看護師さんが常駐。
幕間には15分間ドア開放で換気。
観客は追跡アプリを入れる。連絡先。検温。マスク。手消毒。 
客席は前後左右が空席に。来場を控える人にチケットトレードリ
セールも実施。

現段階で考えられるありったけの策を取って、60公演を完走。
生配信で舞台を見るのは初めて。途中1分間ぐらい途切れちゃった
けどTwitter追っかけたらあたしんちだけじゃなかった。
「不急」じゃないけもしれないけど「不要」じゃないエンタメ。
ソーシャルディスタンスバージョンとして再構成された舞台は
「いま出来ることをしてこれからも生きてゆく」というメッセージ
で溢れていた。


生きていれば
また元どおりになるんですよね?


自分たちにとって
最も大切なものを手放してしまったようだ。
…観客だよ。


なんぴとたりとも我らから奪えぬものがある。
想像力だ。


生き抜いてみせる。
必ずここへ帰ってきてみせる。


僕はいまも俳優を続けている。
今日やるべきことは分かっている。
発声練習と柔軟。
覚えるセリフがあるならそれを覚える。
たとえ明日地球が滅びようとも。

 
 
 
                            店主